脱出のトライアングル -シーズン1「発症から苦しみの道程」ー⑬認知の歪み

体調が整ってきたのでリハビリに精を出しつつ、入院患者さん対象の勉強会にも参加してみようと考えていた。

 

担当の看護師さんからは、

 

「集中力が回復してきたら、入院中にできる勉強会に参加し自分の認知について把握することをお勧めします。」

 

と言われていた。

 

薬物療法と休息、リハビリで幾分集中力や思考力が回復してきたので、そろそろ参加しようと思い、勉強会参加を申し込んだ。

 

不安感や恐怖感も軽減しており、頓服薬も週に1回使用するかしないかの程度まで回復していた。

(相変わらず睡眠は、まだまだ中途覚醒早朝覚醒が続いていたが。)

 

私が申し込んだ勉強会は、「認知行動療法」の基礎である「認知の歪み」についてのセミナーであった。

 

認知の歪みとは、

<物事を端的に判断させようとする”考え方のクセ”であり、その”考え方のクセ”には様々な種類がある>

 

まだ完璧な思考力ではなかったが、勉強会を受講し印象に残ったのは、考え方のクセには8種類のクセが存在していて、別名ユガミンと呼ばれているらしい。

 

健康的な時は、この8種類のユガミンは柔軟に物事を処理しているが、強いストレスがかかったり、うつ病などの精神的な病気になると、極端な思考になってしまい、物事の判断や対人関係に悪さをしてしまう可能性があると考えられている。

 

<8種類のユガミン>

*参考:認知行動療法レーニングブック、竹田伸也著、遠見書房

 

1、シロクロン

→物事を「白か黒か」で割り切り、完璧を求めさせることが得意なユガミン。完璧でなければ納得できないため、少しでも満足できないと自分を全否定し自信を失う。

 

2、フィルタン

→物事の悪い面ばかり目につき良い点やうまくいったことなど他のことを見えなくさせてしまうのが得意なユガミン。何事も悲劇的に見えてしまうため気分も暗くなる。

 

3、ラベラー

→物事や人に「〇〇である」と否定的なラベルを貼り、一度貼ったらはがさないユガミン。あらゆるものに否定的なラベルを貼り、冷静な判断ができなくなる。

 

4、マグミニ

→自分の短所や失敗を実際より大げさに考えて、反対に自分の長所や成功を実際より小さくとらえることが得意なユガミン。些細なミスや失敗を大げさに考えすぎて憂うつや不安な気分になったり、自分の良いところを「できて当たり前」と考えてポジティブに評価できなくなったりする。

 

5、ベッキー

→自分や他者に対して「〇〇すべき」、「〇〇でなければならない」と考えることが得意なユガミン。ルールに縛られて生活が窮屈になったり、自分や他者の失敗を許せず怒りや緊張を感じやすくなる。

 

6、ジーブン

→良くない出来事が起こると、自分に関係がないのにも関わらず、自分のせいだと考えるのが得意なユガミン。

 

7、パンカー

→わずかな出来事や根拠にあらゆる出来事が同じような結果になると一般化しすぎるのが得意なユガミン。嫌なことが繰り返し起こってように感じてしまうため、落ち込みやすくなる。

 

8、ジャンパー

→確かな理由もないのに、悲観的な思いつきを信じ込んでしまうことが得意なユガミン。物事が確実に悪い結果になると早合点しいぇしまい、不安定に気分に苦しむ。

 

 

人には上記8種類のユガミンが存在していて、強いストレスがかかった時、うつ病など時には、強くでてしまうユガミンが存在してしまい、物事の判断や対人関係に影響してしまうので、「自分がユガミンに支配されていることを客観的に捉えて行動していく」ことが必要である。との勉強会であった。

 

この勉強会や認知の歪みを自覚する対象はうつ病が回復期で、ある程度症状がコントロールされている状態の方に必要であるが、うつ病の急性期や極悪期はそれどころではないので注意が必要であると思う。

 

この勉強会を受講し、自分の中の歪みがわずかではあるが把握できた。

 

「僕は、シロクロン、ベッキージーブン、ラベラーが強いな、、、」

 

うつ病を発症する前から、僕は仕事で「白黒をはっきりさせること」、「この仕事はこうあるべき、僕はこうあるべき」、「これは自分の責任だ」と強く思っていた。

 

認知行動療法はこの歪みを認識し、うまく付き合っていくことを目的にしているのはないかと思った。

 

しかし、勉強会に参加し基礎を学んだことで一気に行動が変化するかといえば、非常に難しいと感じる。

 

誰かが自分を客観的に見てもらい、アドバイスを受けながら日々生活をしていくことが必要であると。

 

受講して感じたことは、

 

「認知の歪みがすごいあった。仕事でイライラしている時も認知が歪んでいたんだ。今も認知が歪んでいる。対人関係に気をつけないと。」

 

自分の認知の歪みに怖くなった。

 

うつ病とは、身体的症状や精神的症状を重ね持つ本当に苦しい病気なんだなとつくづく思う。

 

克服した人はどのように克服したんだろうと気になってきた。

 

この認知の歪みは、うつ病の回復期でも気分の波があるときは、かなり強い確率でユガミンが出現してくる。

 

本当に気をつけなけべならないと思った。

 

勉強会に参加して不安を覚えつつも、入院生活を終盤に差し掛かってきていた。

 

脱出のトライアングル -シーズン1「発症から苦しみの道程」ー⑫回復のためのリハビリ

入院して1ヶ月半が経過し不眠は続いていたが、日中の活動量は増加していった。

 

入院中に実施するリハビリは主に、

・運動(ストレッチや筋トレなど)

・手作業(プラモデルや手工芸など)

 

の上記2種類で午前と午後にプログラムされている。

 

もともと体を動かすことが好きであり、元気なころはランニングしたり筋トレしたり、格闘技をしたりと汗を流していた。

 

生活習慣の乱れから、ここ2年~3年くらいは運動という運動は全くしていなかった。

 

生活習慣の乱れが顕著であった。

生活習慣の乱れからいつも睡眠不足を感じていたし、体重も増加していた。

明らかにメタボリックになる生活をしていた。

うつ病になり体重は12キロ減少したが健康的にやせた訳ではない。)

 

このような経過から、入院して運動したのはかなり久しぶりであり、体を動かすことの気持ちよさが身に染みた。

 

「ストレッチってこんなに気持ちよかったんだ。」

 

「筋トレって自信につながるんだ。」

 

運動を楽しめる自分が嬉しく感じれた。

 

「感情が戻ってきている。」

 

運動によって感情が戻ってきていることもまた嬉しく感じた。

 

この2~3年は、感情が麻痺していたかもしれない。

 

嬉しさや悲しさを昔ほど感じなくなり、疲れも自覚しなくなっていたことから、感情が麻痺して、うつ病へとつながっていったんだと思う。

 

このように、運動の効果を味わい、明らかに回復している身体に喜びを感じながら、週に3~4回運動療法を続けていた。

 

近年の研究で、うつ病の人が運動すると

・脳の健康に関係する様々なホルモンが増加する

・炎症反応が低下する

 

という研究結果があり、うつ病に運動は効果的であると考えられている。

 

ウオーキングや散歩もセロトニンを増加させるのはないかと考えられているために、うつ病の人に推奨されている。

 

運動はうつ病に効果的なのは、研究結果や自分自身も体験し間違いないと思うが、あくまで「適度な運動」であると思う。

 

やみくもに激しい運動や強い負荷かけた運動や筋トレは逆効果になってしまうのではないかと思う。

 

自分でその「適度な運動」を見つけることで、はじめて運動が効果的になると考える。

 

激しい有酸素運動は、身体の二酸化炭素の量を増加させて脳を刺激し、不安物質の放出を促すことで、不安感や恐怖感を強めてしまうかもしれないと最近は考えている。

 

何事もやりすぎないことが肝心である。

 

うつ病の方は、まじめな人が多いので自分で厳しいノルマを課してしまい、とことんやってしまい、疲労困憊になりうつ症状の悪化を招くこともある。

 

しかし、そのころの自分は調子良いことを喜び、「もううつ病は改善されている。」と勘違いしてしまい運動強度をどんどん上げていってしまっていた。

 

担当の看護師さんからは、

 

「やりすぎは良くないですよ。休むことも必要ですよ。」

 

アドバイスをもらっていたのにも関わらず、運動を楽しみ良くなっている自分に一喜一憂していた。

 

この時の看護師さんのアドバイスをきちんと聞いていればと、、、このことを後悔するのは、ずっと先のことである。

 

 

運動療法で効果を実感していた僕は、手作業にも参加していった。

 

最初に参加したプログラムは、「プラモデル」である。

 

これは、集中力や思考力の改善を目的としているらしい。

 

プラモデルは、小学生の頃以来作ったことがなかったので、自信がなかった。

 

リハビリ担当の方が、

 

「簡単なものがありますので、ゆっくり作っていきましょう。」

 

と温かく迎えてくれたので、本当に簡単なキャラクターもわからないプラモデルを作ることになった。

 

対象は小学1~2年生と書いてあった。

 

しかし、対象が小学生といえども、うつ病で集中力や思考力が落ちている自分には、容易に作ることができなかった。

 

説明書を見ながら作成するのだが、その説明書がなかなか読めないのである。

 

文字を追うことはできるが、頭に入ってこない。何度も何度も読んでやっと完成できなたが、もう疲労困憊である。

 

「最初は時間がかかりますが、症状が落ち着いてくると少しずつ説明書も読めるようになります。焦らずゆっくりいきましょう。」

 

リハビリ担当の方が笑顔で説明してくれた。

 

また、完成したプラモデルを褒めてくれた。

 

「人に褒められたのは何年ぶりだろうか。」

 

褒めれたことがうれしく、また参加しようと思った。

 

このように、回復のためのリハビリが午前と午後にあり、担当看護師さんやリハビリ担当の方と相談しながら参加していった。

 

リハビリ中は、不安感や恐怖感はほとんどなく運動や作業に没頭できる。

 

「没頭」することが治療であり、いわゆる作業療法と言われている。

 

作業療法うつ病にこんなに効果的なんだ。」

 

うつ病になると、頭で色々な良からぬことを考えてしまい不安になり恐怖に怯え、苦しく辛くなってしまう。

 

薬で安定しても、何かしらの拍子に良からぬことを考えてしまい落ち込んでしまう時がある。

 

その、「考える」ことを、目の前の作業に没頭することで、「考えにくく」することが作業療法であると思う。

 

医療従事者の僕は、そのことにあまりにも無知すぎた。

 

教科書では、うつ病には作業療法が良いとか、運動が良いとかいろいろと書いてあったが、まさかこのような効果があるのかと、自分の知識のなさに情けなくなった。

 

自分自身が体験して、はじめて作業療法の偉大な治療効果に驚愕した。

 

作業療法に参加しながら、「考えるくせ」を軽減していく。

 

リハビリに精を出す一方で、うつ病を理解するための勉強会にも参加していくようになった。

 

脱出のトライアングル -シーズン1「発症から苦しみの道程」ー⑪不眠は続く

新しい薬が処方されて、日中の漠然たる不安感や恐怖感はかなり軽減されて、リハビリなどの活動ができるようになった。

 

日中は、午前中は運動などのリハビリをして、午後からは手作業を中心とするリハビリをしていた。

 

また、スマホYoutubeなどの動画も見れるようになり、脳の混乱が少しずつ軽減されていった。

 

動画といっても、字幕はまだまだ頭に入ってこないことが多かったので、好きな格闘技の動画など動きで表現されているような動画を見ていた。

 

うつ病の極悪期の治療の柱は、「休息」+「薬」であることは間違いないと思う。

 

処方された薬を飲み、ベッドや布団に横になり、食べられるときは食べる。

 

薬だけ、休息だけでは症状は改善されていかないと思う。

 

休息と薬を柱とした治療(療養)が大切であると感じた。

 

症状が落ち着いてくれば、自分の好きな動画を見て気分転換していき、なるべく脳を休めることが必要である。

 

運動も本当に軽めの運動で良い。ストレッチや散歩などの軽めの運動も取り入れると、少し気分が和らいでくる時がある。

 

しかし、症状が落ち着いていればの話であり、無理に「運動しなきゃ!」と散歩をしてしまうと症状が悪化してしまう恐れがあるので、あくまで症状が落ち着いたらである。

(先の話しにはなるが、僕は、無理に運動をしてしまい症状を悪化させてしまったことがあるので、注意も必要と思っている。)

 

うつ病で極悪期やうつ病で調子が悪いときには、

 

1、薬をきちんと飲む。

→自分に合う薬を見つけるまでは時間がかかるのが難点である。また、薬の効果は一時的なこともあるが、上手に休息をとるためには薬の力が必要である。

 

2、しっかりと休息をとる。

→薬の力を借りて、しっかりと休息をとる。どのように休息をとるかは個人差が多いが、ベッドや布団で横になることや、脳を休息するためにリラックスできる音楽を聴いたり、好きな動画をみたりしながら世間から少し離れてみる。

 

3、Youtubeなどの動画みる。

→字幕などの脳を使う動画は極力さけて、好きなスポーツなどのただ見るだけの動画を見て過ごす。音声を聞こうとしても脳を使うので、僕は音声を聞かない動画を見るようにしている。

孤独感や孤立感が著しい時は、音声も聞くようにして孤独感を軽減している時もあるが、極力脳を休めるように、動きだけでも楽しめるような動画をみている。

 

うつ病の極悪期や調子が悪い時は、上記の3つが有効であったと経験している。

 

症状が落ち着いてくれば、「本当に軽めの運動」が効果的な時もある。

 

このように薬の効果が現れて、休息ができるようになり、リハビリなどの活動していた。

 

食欲も湧いてきて、病院食も3食たべられるようにもなった。

 

状態が少し落ち着いてきたのに、苦しめられているこがあった。

 

不眠である。

 

不安感や恐怖感、焦燥感などの精神症状や身体的症状が落ち着いたのも関わらず、夜はほとんど眠ることができなかった。

 

医師と相談しながら睡眠薬を調整していて、その時は睡眠導入剤と中期の睡眠薬を内服しているが、不眠が続いた。

 

入眠はできるが、持続的な睡眠を確保することができない状況であった。

 

23時ころに入眠して、深夜1時には覚醒してしまう。

 

その後は全く眠れることができない。

 

追加の睡眠薬をもらうが、一向に効果がなかった。

 

毎日2時間くらいの睡眠で、朝を迎えていた。それが、もう2~3か月続いていた。

 

睡眠薬を使っても眠れない、、、。日中昼寝もできない、、、。どうしたら眠れるのか。」

 

夜眠れないと、自分でも信じられないようなことを考えて不安になったり、過去の苦しかったことや、今後の不安がつきることなく思い浮かび本当に辛い。

 

 

 

不眠によって脳を休めることができないから、症状は落ち着いても毎日非常に疲れている状態になる。

 

うつ病は眠ることができない病気である。

 

眠るということは、安心できる脳環境があってはじめて「眠る」ことができる。

 

うつ病は、大脳辺縁系の不安や恐怖を感じる扁桃体などが活性化している状況なので、安心できる脳環境ではないために「眠る」ことができないと思う。

 

うつ病は眠れる脳環境ではないのである。うつ病は脳の病気であるとつくづく思ってしまう。

 

眠ることができない状況は、人をネガティブにしてしまうし、病気のさらなる進展を加速してしまい、そこから認知の歪みが発生してしまう。

 

この認知の歪みは、自分に自覚がないことが多いので注意が必要である。

 

認知の歪みについては、後ほど書くが、これは自分を客観視できないと歪んだまま生活をしてしまい対人関係や自分の生活に影響を及ぼすことになる。

 

不眠は疲れるし、不安になるし、認知も歪む、、、いいことがない。

 

日中はそれなりに活動してるし、昼寝もしていないのに、夜になると眠れない。

 

どうにか眠れるようになりたい、と思ってもなかなか改善されないのが、うつ病の不眠である。

 

入院して1ヶ月経過して、色々と薬を調整しても、毎日2時間睡眠が続いた。

(今でも時折不眠に悩まされる時がある。)

 

不眠になってから2~3か月経過するが、「良くギリギリでも生活できているな。」と思った。

 

ようやく、少し眠れるようになったのは、入院して2か月くらい経過した時だった。

 

「眠れるようになった」というが、睡眠時間が長くなったことであり、決して質の良い睡眠をとっている訳ではない。

 

当時飲んでいた睡眠薬は、

睡眠導入剤 1錠

・中期型睡眠薬ベンゾジアゼピン系) 2錠

抗不安薬ベンゾジアゼピン系) 1錠

 

寝る前で4錠も飲んでいた。

 

この4錠を飲んで、なんとか5~6時間の睡眠時間は確保できた。

 

しかし、よく夢を見るし、中途覚醒も多々あった。

 

うつ病の病状もあるかもしれないが、ベンゾジアゼピン系は、睡眠の時間は確保してくれるが、良質な睡眠までは確保されないかもしれない。

 

この薬を半年は飲んだが、「ぐっすり眠れた!」と思える日はなかった。

 

不眠は続いていたが、病気が良くなった思い日中の不安や恐怖感は軽減されていたのでリハビリに精を出し、活動的な入院生活を送っていた。

 

この「病気が良くなった。」という思いは、薬で一時的に安定したのであることも知らずに、一喜一憂してしまい、僕の癖である頑張るすぎが発動してしまった。

 

その頑張りすぎが、これからの生活に支障をきたしてしまう。

 

一喜一憂して油断をしていけないがうつ病という病気、、、。

 

そのことを知らずに、色々と頑張りすぎて、後悔していくことになる。

 

 

脱出のトライアングル -シーズン1「発症から苦しみの道程」ー⑩薬の効果

新しく精神安定剤が追加になり、僕は徐々にではあるが動悸や息切れ、下痢、食欲不振などの身体的症状および、不安や恐怖感といった精神症状が安定してきた。

 

それは、服用して1週間後くらいで感じてきたことである。

 

検温のときも、看護師さんからは、

 

「表情が少し穏やかになってきましたね。」

 

と言われた。

 

毎日、毎日号泣していた僕なだけに、看護師さんもやや驚いたようであった。

 

朝起きても、強い不安感に押しつぶされることはなくなり、発症からの苦しい2か月間の中一番落ち着いていた。

 

「たった朝夜の2錠しか飲んでいないのに、薬ってこんなに効果があるんだ。」

 

と薬の力に感服した。

 

日中も、不安感で身動きができなかったのが、少しずつではあるが不安がない時に、動くるようになり、病室からもでられるようになった。

 

薬の偉大さを噛みしながら、少し落ち着いたことに安心していた。

 

うつ病がもう治ってきたのかもしれない。」

 

症状が治まってきたことに加えて、動けるようになったことで、”治った”と早合点してしまっていた。

 

これは、薬で一時的に安定しただけであって、決して”うつ病が治った”のではないが、この時の僕は気づいていなかった。いや、うつ病という病気の本質を理解していなかった。

 

身体症状の動悸やのびせ、下痢などは一時的にだいぶ軽くなった。

 

そう、この2か月間苦しめられていた下痢が治まったのだが、今度は便秘気味になっていた。

 

2~3日間便がでないこともあった。

 

便意をもよおしトイレに行くが、今度は便が固くて苦しんだこともたびたびあった。

 

「下痢の次は便秘か、、、。」

 

下痢も苦しいが便秘もすごい苦しい。

 

今までの生活で、下痢は経験したことがあったが、便秘を経験したことがなかったので、人生初の便秘に四苦八苦していた。

 

すっきり便がでないことストレスであり、出たとして非常に苦労した。

 

僕が新しく服用した抗精神薬の安定剤は、中枢神経系に強力に作用し、様々な機能に対して抑制的に働くために、便秘が生じるらしい。

 

水分を多めにとるようにして、便秘にならないように気をつけていくしかないと感じていた。

 

うつ病は、様々な身体的症状と戦うのとともに、薬の作用や副作用とも戦っていかなければならない。

 

脳に作用する薬であるから、様々な副作用が出てきてもおかしくはないが、身体的精神的の両方に副作用が出てくるので、症状なのか薬の影響なのかわからなくなる。

 

しかし、うつ病の身体的症状や精神的な症状ある特に初期には、”薬”で症状を抑えるのは必要であると思う。

 

うつ病の症状が強く出ている急性期は、薬の力を借りて日常生活を穏やかに過ごせるようにするのが大切であると思う。

 

 

入院して2週目、便秘と悪戦苦闘しながらも、あの恐ろしい不安感や恐怖感が軽くなってきた。

 

また、「死」をイメージすることや、「死」に引きずりこまれるような症状も軽くなってきた。

 

否定的認知の3徴も軽くなってきて、

 

「心が穏やかになってきた。」

 

と実感できるようになった。

 

あれほど苦しんでいた症状が軽くなり、医師からは、

 

「そろそろ精神リハビリに参加してください。リハビリで体調を整えていきましょう。」

 

と言われたので、入院のリハビリに少しずつ参加することになった。

 

1週間に6日間あるリハビリプログラムについて、リハビリ担当者からオリエンテーションをうけた。

 

「こんなに出来るのか、、、。また疲れてしまうんじゃないか、、、。」

 

と不安になりながら聞いていた。

 

まだ、”暇”を感じるほど回復はしていなかったが、リハビリをすることで何か良い方向に向かうのではないかと思い、参加できるプログラムは参加しようと思った。

 

うつ病は、【暇】を感じない病気だと改めて思う。

 

友人から、

 

「入院して2週間たったけど、もう暇でしょう」

 

「退屈になってきたでしょう。」

 

と言われたが、全く暇なんて感じない。

 

日々苦しいことと戦っているので、暇を感じることはなかった。

 

頭の中では、不安感やネガティブなことを考えて、押しつぶされそうになっているので、暇を感じるどころか、「もうこんな時間なんだ。」と思うことが多かった。

 

うつ病は、身体的症状や精神的症状といつも一緒に過ごしているので、非常に忙しい病気であると思う。

 

うつ病が甘えとか、暇とか思われていることが非常に悲しくなってしまう。

 

もし、暇と思えているうつ病の方は、ある程度回復した方であると思う。

 

 

僕には、”暇”な時間はなかったが、リハビリに参加することにした。

 

僕が入院した病院には、スポーツジムがあり体を動かすことができる。

 

「ストレッチだけでもしてみようかな。」

 

入院してから2週間、苦しみの中ベッドに横になっていることしかできなかったので、背中や腰が痛くなっていたから、体をほぐす意味でもストレッチに出てみようと思った。

 

リハビリの担当者も、とても良い方であり、

 

「無理することはないですので、自分のペースでゆっくりして下さい。」

 

と笑顔で迎えてくれた。

 

このリハビリ担当者の笑顔には何度も救われた。

 

この病院には、専属の運動インストラクターがおり、運動のプログラムが豊富である。

 

例えば、ストレッチプログラムやダンベル体操、ヨガ、ストレッチポールプログラム、体幹運動、エアロビクスなど曜日によってプログラムされている。

 

この日はちょうどプログラムがなく、マットの上で自分でストレッチをした。

 

ストレッチスペースには、鏡があり自分の姿を見ながらストレッチすることができる。

 

15分程度ストレッチをして、自分なりに体をほぐしながら鏡をみた。

 

「痩せたな。」

 

とつぶやいていた。

 

体重がどんどん減っていた。

 

スポーツジムには体重計があったので、計ってみた。

 

「また減っている。」

 

この2か月で、12キロも痩せていた。

 

体は痩せているのに「体が軽い」と感じない。

 

げっそりした自分を見ながら、ストレッチを終えた。

 

久しぶりに体をほぐしたせいか、本当に久しぶりにスッキリした。

 

「この調子で少しずつストレッチして行こう。」

 

と、少し希望を持てた瞬間であった。

 

うつ病の超急性期には運動など考えてられないが、薬で症状が治まっているのであればわずかな運動は回復につながるかもしれないと思った。

 

まだ症状があるので、急に本格的な運動は無理だがストレッチ程度の軽い運動は気分転換につながるかもしれない。

 

うつ病には運動が良いことは知られている。幸せホルモンのセロトニンが分泌されたり、体を動かしている時は脳をあまり使わないので、多少は気がまぎれるのかもしれない。

 

入院して2週間で、ストレッチをしたことで、やっと少し人間らしい行動がとれるようになってきたのが嬉しくなった。

 

「たった15分程度のストレッチでこのような気持ちになるんだ。」

 

リハビリ後、僕の部屋に看護師さんが来て、リハビリの感想を聞いてきた。

 

「ストレッチはどうでしたか?」

 

僕は、

 

「とても気持ちよかったです。また出ようと思います。」

 

と笑顔で答えた。

 

「無理はしないでくださいね。無理をしても早く治ることはないですので、スローペースで参加してくださいね。」

 

僕はすぐに無理をしてしまうので、看護師さんも心配しているのでしょうと思った。

 

そう、僕はすぐに無理をしてしまう。

 

この無理が病気の引き金であるので、注意していく必要があるんだと思いながらも、、、

 

この先、無理をしていってしまう自分が存在してしまう、、、。

 

入院2週間が経過し、つかみどころのない、対象のない漠然とした不安感が、少しず少しずつ治まってきており、日中は幾分穏やかになったが、夜は相変わらず2~3時間の睡眠であった。

 

うつ病は眠れない、、、。

 

眠れないのは本当に辛い。

 

この先も不眠に悩まされることになる。

 

 

脱出のトライアングル -シーズン1「発症から苦しみの道程」ー⑨新しい薬

入院3日目。

 

昨晩もほとんど眠れなかった僕は、つかみどころのない不安感に苦しめられていた。

 

頭も働かない。

 

例えてみれば、脳がゼリーの覆われているような状態であり、自分の行動が自分ではない感覚であった。

 

「夢をみているような感じだ。」

 

立つこと、歩くこと、水を飲むことなどなど、夢の中にいるような感覚で行動をしており、自分の行動とは思えない感覚であった。

 

これが抑うつ状態の一つの状態であると思う。

 

脳の機能が低下しており、何に対しても意欲が湧かなく、頭が常に重い状態。

 

肩こりの時に、帽筋などの筋肉の血流が滞っている状態で、肩が重だるい感覚になると思うが、抑うつ状態では脳が血流不足になり、頭が重だるくなっているのではないだろうか思ってしまう。

 

私の場合は特に、前額部が顕著に重く怠くなり、おでこなどが硬直してしまう症状があるために、前頭葉の血流不足があるのではないかと考えられる。

 

現在、米国の方ではTMS磁気治療が、脳の血流(特に前頭葉うつ病の方に有効であるということで治療として用いられている。

 

このことからも、脳の血流不足によって肩こりのように、脳がゼリーに覆われているように頭が重だるくなっているのではと思う。

 

脳の機能低下であるから、当然、集中力の低下や思考力の低下が生じる。

 

新聞を読めない。メールが読めない。車のエンジンがかけれない。歯みがきができない。コンセントがさせない。

 

すべて脳の機能低下である。

 

うつ病は、心の風邪でない。脳の病気なんだと思う。

 

しかし、まだまだ一般的には、「メンタルが弱いだけ。」で片づけられるだろう。

 

 

「朝になった。カーテンでも開けるか、、、。」

 

ほぼ眠れないまま朝になり、自分の部屋のカーテンを開けると太陽が突き刺してきたが、何も感じない状況であり、天気のことなども頭に入ってこない。

 

雨だろうが晴れだろうが、曇りだろうか、何も感じない。

 

ただ眠れなかったことだけで頭が一杯であった。

 

「まだ、6時30分か。食事までまだ早いな。」

 

食事時間は8時であるため、それまでに働ない頭で必死に洗面をする。

 

8時になり、朝食を食べるが、いつものようにただ口に入れているだけであり、味わうとかそうような感覚はない。

 

「飲み込みも悪いし、お腹も空かない。」

 

症状が一つ、また一つ増えるたびに、不安感が強くなってくる。

 

入院しても不安があることに変わりなかった。

 

「本当に入院して良くなるのだろうか。このまま不安や頭が働かない状態が続くのではないだろうか。」

 

と、不安で落ち着かない状況であった。

 

不安で落ち着かないと、「死」へのイメージも強くなり、

 

「このまま死んでしまうのではないか。」

 

と死へ引き込まれそうになる。

 

自分でコントロールできないので、

 

「衝動的に行動したらどうしよう。」

 

「自分は今何するかわからない。」

 

自分の行動に恐怖を覚えていた。

 

同じ病棟に入院している患者さんは、落ち込んでいる人、泣いている人、元気そうな人、普通に見える人など、色々な患者がいた。

 

食事をするところでは、仲の良い患者さん同士でお話しをしたりして和気あいあいとしている場面もあった。

 

その患者さん同士で話をしている会話がたびたび僕の耳にも聞こえてきた。

 

「昨日は頓服薬3回も飲んだのよ。」

 

「先生なかなか薬を変えてくれないから辛いのよ。」

 

など、他の患者さんも辛いんだなと感じることができた。

 

午前中、検温の時間になり看護師さんが部屋に入ってきた。

 

看護師さんには、常に不安感や恐怖感があり落ち着かないこと、眠れないこと、下痢が持続していること、食事の飲み込みが悪いこと、のぼせ、動悸があることなど、今自分が困っている症状を伝えた。

 

僕はこの3日間、看護師さんの検温の際には毎回号泣しており、

 

「僕はどうなってしまうのか。」

 

と泣きながら訴えていた。

 

医療従事者であり、中年のおじさんであり、男であり、、、そんなことはどうでも良く、自分でも制御できないまま、看護師さんが来るたびにいつも涙ながらに自分の辛さを訴えていた。

 

看護師さんは、ゆっくりと気長に聞てくださり、一つ一つのことを安心させるように返答してくれた。

 

「それもうつの症状です。抑うつ状態が改善すれば、必ず良くなります。」

 

何度も何度も僕に気長に答えてくれた。

 

「必ず良くなるか、、、。」

 

僕は看護師さんのこの言葉に救われていたが、一方で、消えない不安感があるために、自分が良くなるイメージが湧いてこなかった。

 

看護師さんから、

 

「今日先生の診察がありますので、お部屋で待っていてください。」

 

先生の診察で、薬の調整があり少しでも症状が良くなればいいなと、全身脱力状態ながら希望を抱いた。

 

僕は、下痢にも悩まされた。

 

看護師さんの検温が終わって、トイレにいった。

 

「また、下痢か、、、。」

 

約2か月前から、1日に3回以上は下痢をする。

 

下痢をするたびに、落ち込んでいるところにさらに落ち込み不安が大きくなっていた。

 

下痢を繰り返すと本当に疲れる。

 

ただでさえうつ病で疲れているのに、追い打ちをかけるように下痢でさらに疲れてしまう。

 

入院病棟のトイレで下痢で苦しんでいると、

 

看護師さんが、

 

「大丈夫ですか。今から先生の診察ですので、トイレが終わりましたらナースステーションに来てください。」

 

と声をかけてきた。

 

「は、、、い、、、。」

 

これが精一杯の返答だった。

 

眠れない、不安、下痢、、、さらにさらに、、、と、うつ病は人間を究極まで追い込む病気であることがわかる。

 

心の風邪」なんてなま優しいものでなはい。

 

うつ病はいとも簡単に、1人の人間をならくの底に落としてしまう。

 

 

トイレから出てきて、ナースステーションに向かった。

 

「順番にお呼びしますのでお待ちください。」

 

順番まちの間、

 

「薬が増えるんだろうな。どんな薬を飲むことになるんだろう。」

 

と、不安になりながらそわそわしていた。

 

順番が呼ばれ、診察を受けた。

 

「新しい安定剤を出しますので、飲んでみてください。これで不安感は軽くなると思います。今日の夜から飲んでください。」

 

朝・夕に1錠ずつの安定剤がでた。

 

診察後、

 

薬が増えたことへの不安、、、。

 

新しい薬への不安、、、。

 

今後への不安、、、。

 

余計に不安が増してきた。

 

「でも信じるしかない。入院しているんだから。」

 

と、消えない不安感に耐えながら夕食を待った。

 

夕食までは、いつもように不安と戦いながら、ベッドに横になったり、外の空気を吸ったりとしていた。

 

それでも全く落ち着かない。

 

横になれば、「死」などのネガティブな考え浮かび苦しくなるから昼寝なんかできない。

 

夜も寝ていないのに、昼寝もできない。

 

また、このころは、被害妄想や貧困妄想、心気妄想などが出てきており、認知の歪みが生じていた。

 

自己否定や将来への不安。

 

そう、私は抑うつ状態の時に呈する「否定的認知の3徴」が現れてきたのである。

 

否定的認知の3徴とは、自己否定(自分自身に対しての否定)、他者(世界)否定(周囲との関係に対して)、将来に対しての否定であり、抑うつ状態になるとこの3つの否定な認知の歪みが生じてくるらしい。

 

この認知の歪みがあるまま生活していると、落ち込んでいるのに、さらに落ち込んでしまい、日常生活に支障をきたしてしまう。

 

また、対人関係にも影響するために、より良い人間関係が崩れていく可能性があるらいしい。

 

不安や恐怖感と戦いながらも、この否定的認知の3徴にも苦しめられており、「死」へのイメージも強くなり、もうどんどん負のスパイラルに追い込まれていく。

 

しかし、自分では何もできない。気の持ちようではない。

 

脳が勝手に指令を出してしまうので、苦しむしかなかった。

 

「自分はダメな人間なんだ、、、。」

 

「周りに迷惑かけてばかりだ、、、。」

 

「このままどうなってしまうんだろう、、、。」

 

死への恐怖と戦いながら頭の中は自分を責めてばかりいた。

 

元気の頃なら、「暇」を持て余してしまうと思うが、上記のような苦しみがあるので、全然暇ではない。

 

暇という感覚にならないのである。

 

苦しむことで疲弊しきっていて、休息が必要なのだろうけど「休めない」のが本当に辛い。

 

うつ病は、休みたいのに休めない病気でもなる。

 

暇を感じないのがうつ病などだろう。

 

甘えではない。

 

病気が動けなくさせているのだ。

 

ようやく夜の薬の時間になり、新しい薬を飲むことができた。

 

飲んで、1時間後、2時間後、、、変化はない。

 

変化のないまま、就寝時間になり睡眠薬を飲んだ。

 

「新しい薬、、、効果はないな。」

 

最初に飲んだ感想はそうだった。

 

効果はないが、副作用もない。

 

睡眠薬を飲んだが、相変わらず2時間程度しか眠れず、深夜1時頃に目が覚めて、そのまま朝を迎えた。

 

いつもよりは不安感が多少は軽減されているような感覚であった。

 

「少しは効いているかもしれない。」

 

眠れないで朝を迎え、いつもように朝食を食べた。

 

「あれ、飲み込みがいつもよりいいぞ。食欲も多少あるぞ」

 

と昨日に比べて変化が見られた。

 

さらなる変化は、この3日間毎朝の検温の時は、号泣して看護師さんに苦しみを訴えていたが、この日は、号泣せずに看護師さんをお話ができた。

 

「泣かないで話することができた。」

 

不安で落ち着かなかった行動も、多少は落ち着いてきた。

 

「これは、効いてるんじゃないか。」

 

と、新しい薬に期待を寄せていった。

 

新しい薬は、ベンゾジアゼピン系の薬ではなく、抗精神薬に分類させる精神安定剤である。

 

効果時間は長く、ベンゾジアゼピン系よりも効果は強力であるらしい。

 

また、ベンゾジアゼピン系に見られる依存性や耐性は少ないとされている。

 

僕は、現場経験上、この薬のこと知っていた。

 

鎮静作用が強いことで知られていたので、これを飲むことで過鎮静になるのではないかと不安に思っていたが、そのような過鎮静になることはなかった。

 

「このまま不安感が消えれば仕事にまた戻れるかもしれない。」

 

まだまだうつ病について受け入れていない自分がいて、考えが甘かった当時であったが、新しい薬に期待をしていった。

 

 

脱出のトライアングル -シーズン1「発症から苦しみの道程」ー⑧消えない不安感

2017年6月、精神科での初めての入院。

 

うつ病での初めての入院。

 

入院して食事は何とか食べれたものの、夜は相変わらず眠れなく、不安感や焦燥感、恐怖感、胸のザワツキが消えることはなかった。

 

この消えない不安感はいったい何なんだ。

 

どこからともなくやってきて、消えることのない不安感、、、。

 

何かに憑りつかれたような強烈な不安感。

 

看護師さんと話をしても、誰と話をしても消えない不安感や恐怖感がいつも僕を苦しめていた。

 

夜眠れないときは特に強烈で、不安が不安を呼び、さらに不安を呼ぶことで、何でもないようことも怖くなり、ネガティブ思考になる。

 

2017年5月に発症以来、この不安感や恐怖感は消えることがなく、いつも怯えていた。

 

「気持ちの持ちようだよ。」

 

「気晴らしでもすれば大丈夫だよ。」

 

周りの人たちは、このように言ってくるが、【自分ではコントロールできない】、勝手に襲ってくる症状なのである。

 

うつ病大脳辺縁系が過度に反応している病気であるらしいので、その一部である不安や恐怖に関係する扁桃体が暴走しているため、何もしていない状況でも、このように不安感や恐怖感を自覚してくるらしい。

 

うつ病は常に扁桃体が反応している状態であるので、少しの刺激やストレスで扁桃体はさらに暴走してしまい、強烈な不安感や恐怖感が襲う事になると思う。

 

このように、脳の指令による過剰な不安感や恐怖観であるために、自分ではコントロールできないのは当然であり、どうしていいいかわからないのも当然である。

 

しかし、

 

「気のせい。」

 

「考えすぎ。」

 

「笑って笑って。」

 

と、周りの人には理解できないのが、うつ病の特徴であると思う。

 

気の持ちようで取り除くことができるのであれば、それは病気でないような気がする。

 

最悪の場合は、この不安感や恐怖感は「死」をイメージすることにつながると思う。

 

この不安感や恐怖感から逃れたい、楽になりたい、、、。

 

この強烈な不安感や恐怖感で未来への兆しが見えない、、、。

 

脳が勝手に「死」をイメージさせ行動を結びつけてしまう、、、。

 

というように、うつ病は不安感と恐怖感ともに、「死」との歯車を勝手に結びつけてしまう病気である。

 

私の場合も、不安感と恐怖感で「死」をイメージすることが度々あり、脳が勝手に「死」との歯車を結びつけそうになったいた。

 

うつ病では、この不安感や恐怖感が消えない限り、いつも脳は勝手に「死」との歯車を結びつけさせようとしていると思う。

 

うつ病と不安感・恐怖感は表裏一体であり、常に苦しむことになる。

 

特にうつ病は眠れない病気であるので、眠れないときには、より一層その不安感や恐怖感が強くなるので、孤独で辛い時間を過ごすことになる。

 

そう、

 

うつ病は眠れない病気、、、

 

うつ病は脳の反応によって不安や恐怖感が襲ってくる病気、、、

 

この2つが加われば、死の恐怖とも戦うことになる病気である。

 

それだけ、この不安感や恐怖感は辛く苦しいうつ症状の一つである。

 

入院して一日目、夜はほとんど一睡もでできない状況であり、不安感と恐怖感を抱きながら長い長い夜を過ごしていった。

 

「どうして眠れないんだ。」

 

「このままダメになってしまうのか。」

 

眠れないことで、どんどん不安感が増していき悪循環になっていた。

 

これが毎晩続くのである。

 

これがうつ病

 

心の持ちようで解決できないのがうつ病である。

 

私は過去に医療の現場で、うつ病の方のことを本当の意味で理解できていなかったことを恥じる。そうして申し訳ない気持ちで一杯である。

 

「不安で眠れないんです。」

 

そう訴えてきても、少しお話を聞き、追加の眠剤を渡すだけしかできなかった自分を恥じる。

 

眠れないに加えて、不安で不安でどうしようもないんだ。自分ではコントロールできないんだ。

 

そのことをわかっていれば、もう少し患者さんの気持ちに寄り添ってケアできたかもしれないと思う。

 

この絶え間ない不安感と恐怖感、死への恐怖とも戦い、涙を流しながら必死に耐えて、ようやく入院2日目の朝を迎えた。

 

食欲はまったくないが、無理くり朝食を食べた。

 

夜は眠れない、昼寝もできない。

 

昼間ベッドに横になっているが、寝ようとすると胸のザワツキが強くなり、ネガティブなことを考え胸や色々なところが苦しくなり、

 

「うぁー!」

 

と飛び上がるような感覚で目を開けてしまう。

 

寝るという行為ができない状態になってしまう。

 

寝るとか、リラックスするということができない。

 

いつも緊張状態であり、不安感が付きまとう。

 

脳の神経伝達物質ドーパミンノルアドレナリンセロトニン)に乱れがあり、リラックスすることができない状態を作ってしまっていると思う。

 

「あれだけ好きだった昼寝ができない。」

 

「昼寝したい。とくかく寝たい。」

 

「休みたい。」

 

この思いも虚しく、症状と時間だけが過ぎていく。

 

連日の不眠で疲労困憊であることに加えて、絶え間ない不安感と恐怖感に歩くことがやっとな僕は、もうどうしていいかわからなくなり看護師さんに相談した。

 

ただただ、この状況から抜け出したく、藁にもすがる思いで相談した。

 

医療従事者であるプライドなんてどうでも良い。

 

僕は泣きながら、自分が苦しいことを訴えた。

 

「今はまだ不安感が消えないと思います。そして、なかなか眠れないと思います。うつ病が不安感を呼び、寝かせてくれないと思います。薬の調整がうまくいき、少しリラックスすることができれば不安感も軽くなりますし、必ず眠れますので安心して下さい。」

 

「今、抑うつ状態の真っただ中にあります。必ず脱出できます。」

 

看護師さんは、笑顔で優しく僕に返答してくれた。

 

「僕は今抑うつ状態、、、すべての症状はうつ病がそうさせている。不安感が軽くなる。眠れるようになる。」

 

僕は看護師さんが話してくれたことを、何度も何度も復唱していた。

 

まだ、薬の調整をしていない段階であり、この病院では、まずはストレスフリーにして、休息をしてもらうが一般的なようであるが、僕は募る不安感や恐怖感でいてもたってもいられなかった。

 

「いつになったら薬の調整をしてくれるのだろうか。」

 

横になってても、外に行っても、何も変わらない。

 

不安感と恐怖感で本当に危ない状況になりそうであった。

 

何もできない状況が虚しく、早く楽にしてほしいと願うばかりであった。

 

薬の調整がないまま、入院2日目の夜を迎えた。

 

美味しいとか美味しくないとかは全くわからない状況であったが、食事は何とかとれていた。

 

おそらく、味覚異常も扁桃体の部位が関わっていりょうであり、この扁桃体が反応しており、味覚異常も生じると考える。

 

また、僕は飲み込みも悪くなった。

 

食事をするが、うまく飲み込むことができなく、窒息しそうになることがあった。

 

すべて、脳の機能が低下したためだろうと思う。

 

うつ病は、本当に多種多様な症状を呈するとともに、個々人によっても生じる症状も同じではないので、うつ病の症状を理解することは非常に難しいと考える。

 

この味覚異常や飲み込みが悪いことも不安であり、不安がさらに不安となった。

 

消えない不安感、、、。

 

「いつになったら軽くなるのか。」

 

そればかり考えて、就寝時間を迎えた。

 

睡眠薬を服用したが、1時間や2時間で起きてしまい、いつものように眠れない時間を過ごすことになった。

 

「入院しても眠れない。何をして眠れない。」

 

増えていくのは不安感だけ、、、。

 

不安が強くなるのに比例して、緊張感も増強していく。「

 

過緊張状態である。

 

首こりや肩こり、腰痛、背中の痛みが激しくなってきた。

 

今まで自覚したことがない首や肩の凝り、腰痛、背中の痛み、、、。

 

「立ってても横になって痛い、、、。」

 

過緊張状態であり、血流が悪くなりコリや痛みを引き越すのだろうと思う。

 

そして、末端の血流が悪くなっているから、異様に手足が冷える。

 

いままで暑がりすぎていた人間であったのに、急に冷え症に悩まされた。

 

とにかく、手足が冷える、背中が寒い。

 

6月なのに、厚着をして過ごしていた。

 

夜は靴下をつけて眠っていた。

 

これも不安・緊張状態であるために、血流が悪くなっている証拠だと思う。

 

このように、不安感や恐怖感を中心に、様々な症状を抱えしまうのがうつ病であると思う。

 

 

そして、不安感を抱えたまま、入院3日目の朝を迎えることになる。

 

脱出のトライアングル -シーズン1「発症から苦しみの道程」ー⑦初めての入院

今まで通院していたクリニックには入院施設がないため、僕は紹介状をもらい入院施設のある病院を受診した。

 

入院に対する拒否感や抵抗感は全くなかった。

 

とにかく、この多くの症状が治まって欲しい、この一心だった。

 

薬を飲んでも一向に改善しない症状。

 

自宅にいてもゆっくりできない状況や妻に申し訳ないという自責感。

 

職場でも皆に迷惑をかけてしまうという自責感。

 

これらの症状や状況を少しでも改善できればと思い、新しい病院を受診した。

 

かなり混雑している待合室で、僕は落ち着きいなく周りを見渡していた。

 

全く落ち着きのない自分。

 

受診を待っているだけなのに、いてもたってもいられない落ち着きなさ。

 

何に対する不安感がわからないが、不安と恐怖で落ち着きがない。

 

この診察を待つまでの時間は、本当に長く倒れてしまいそうだった。

 

受付をして1時間ほど待っていると、臨床心理士さんの問診で呼ばれ、面談室に入った。

 

面談室に入った僕は、聞かれていることには一応何とか返答しているものの、本当に極限の状態であった。

 

臨床心理士さんの質問をやっとの思いで聞くことができるが、頭に入ってこない状況であった。

 

今までの経過や症状、不眠が続いてること、、、とにかく不安感や恐怖感があり、日常生活に支障をきたしていることなど、極限の状態である中、何とか何とか伝えることができた。

 

問診を担当してくれた臨床心理士さんは根気よく返答を待ってくれ、何とか問診を終了することができた。

 

問診だけで疲れた僕は、満身創痍になりながら、再び待合室で医師の診察を待っていた。

 

待つことがこれほど辛いとは、、、今まで生きた中で一番長く苦しい待ち時間だった。

 

問診を終えた1時間後、やっと診察に呼ばれた。

 

妻と一緒に診察に入った。

 

問診の時と同じように、今までの症状や状況、入院治療を希望していることを満身創痍ながら医師に伝えた。

 

医師からは、

 

抑うつ状態ですね。うつ病です。ものすごく疲れている状態で、元気がない状態です。早く入院してしっかり休んだ方が良いですね。」

 

僕は絶句してしまった。

 

うつ病、、、うつ病か、、、。」

 

涙が溢れてきて止まらなかった。

 

妻に対して、

 

「ごめんね。ごめんね。」

 

と何度も泣きながら謝った。

 

診察の最中でありながらも、何度も何度も妻に泣きながら謝った。

 

そこにはプライドも何もない、、、医療従事者という肩書もない、、、

 

もう何もない状況の素の僕があらわになった。

 

今まで我慢していた心境を、すべて含めて妻に申し訳ない気持ちだったの。

 

医師から、

 

「入院の予約をしてもらいますから、担当の者が案内しますので待合室でお待ちください。」

 

僕は、何も聞き入ることができない状況だった。

 

妻に申し訳ない気持ちだけ、それだけであった。

 

仕事人間だった僕は、ろくに家族サービスもしないで結婚生活を送っていた。

 

妻に寂しい気持ちを与えてきた結婚生活だった。

 

僕が仕事だけであったために、家庭をことを必死に頑張ってもらった妻。

 

本当に負担をかけてきた。

 

恩返しをしていないのに、僕はうつ病になってしまった、、、本当に申し訳ない。

 

診察中や診察後もこの気持ちで一杯であった。

 

入院の手続きの案内のために担当者が来た。

 

僕は、もうすでに朦朧状態だったが、入院病棟などを見学して。翌日入院予約を入れた。

 

もう自宅にいても、妻に迷惑をかけるだけ、職場でも迷惑かけるだけ、すぐに入院した方が良いと判断していたので、翌日に入院を決意した。

(タイミング良く入院病棟に空きがあったのが幸運だった。)

 

医師から、

 

「入院してから薬の調整をします。」

 

とのことで、その日は薬の処方はなかった。

 

「今日一日また不安感と不眠で苦しむのか、、、。」

 

と不安があるが入院が決まったことで、少し安心感があったのを覚えている。

 

診察の帰りに、入院に必要な買い物を済ませ、自宅に帰った。

 

職場や実家に電話し入院が決まったことを伝えて、入院する手筈が整った。

 

電話では何を話したか覚えていない。

 

うつ病というショックと、疲労感でもはや頭が機能していない状況であった。

 

精神科での初めての入院、、、僕が患者として入院したのいでは、20年前に虫垂炎で手術した5日間だった。

 

たった5日間だったのに入院生活が嫌で嫌で仕方がなかったのを覚えている。

 

今回の入院はどのくらいの期間になるのか、症状が本当に改善するだろうか。

 

色々と頭に浮かんでくるので、その日は眠ることができなくなった。

 

寝ないまま朝を迎え、入院するため8時に自宅を出た。

 

昨日と同様に混雑している待合室、、、昨日の疲れもあり、昨日よりもさらに満身創痍な状態で待合室で診察を待っていた。

 

1時間後、順番が呼ばれて診察室に入った。

 

「入院期間は一応3か月です。」

 

医師から聞いたその3か月という期間に怖くなってしまった。

 

「3、、、3か月、、、。」

 

虫垂炎のときのたった5日間でも苦痛だった僕は、3か月と聞いて事の重大さをさらに強めていった。

 

うつ病というのは、虫垂炎や風邪とは違い長い時間がかかるんだ、、、やっかいな病気になったんだな、、、。

 

そこには絶望しかなかった。

 

「焦らず、慌てず、諦めず。今はすべてを放棄して治療に専念した方が良いです。」

 

医師からは、今の僕の状態があまりよろしくないことも聞いた。

 

「焦らず、慌てず、諦めずか、、、死ぬかもしれない病気なんだ、、、。」

 

僕は、入院が決まってからも、

 

「死ぬかもしれない、、、死ぬかもしれない、、、。」

 

と命の危険に怯えていた。

 

もし、〇〇があったら突発的に何かやってしまうかもしれない。

 

その恐怖がいつも頭にあり怖かった。

 

うつ病は、死を意識してしまう病気であり、死を自ら呼んでしまう病気なのかもしれない。

自分は死のうとしなくても、病気が勝手に死を呼び込んでしまう。

この死の恐怖に怯えて怖くなり、負のスパイラルに陥ってしまうのはないか。

 

うつ病は死を意識してしまう。

 

僕は、死のうとは思っていないのに、いつも死の恐怖と戦っていたと思う。

 

 

診察が終わり、諸々の入院手続きを済ませた僕は、入院病棟に案内されて、自分の部屋に入り、妻は帰った。

 

僕が入院した病棟は開放病棟であり、明るく落ち着きのある病棟であった。

 

自分の部屋は個室であり、リラックスできる空間であった。

 

入院ための荷物を整理しているが、頭が重く夢の中にいる感覚であったため、要領よく整理することができなかった。

 

かなりの時間をかけてようやく荷物の整理して、外に煙草を吸いにいった。

 

初めての病院、初めての入院で訳も変わらないのに加えて、抑うつ状態で頭が機能していない。

 

煙草を吸うことがやっとあった。

 

部屋に戻り、担当の看護師さんが入院の問診をとり来た。

 

担当の看護師さんと話しだすやいなや、私は涙が出てきて号泣してしましった。

 

涙で涙で、話にならない。

 

それでも気長に話を聞いてくれ、色々な話をしてくれた。

 

「イライラすることがあったでしょう。頭がうまく働かないかったでしょう。眠れなかったでしょう。食欲もなかったでしょう。」

 

と、今まで症状とどんぴしゃりのことを質問されて驚いた。

 

「それはすべてうつ病の症状ですよ。うつ病は治る病気と信じていますので、ゆっくり休みながらいい方向に向かいましょうね。」

 

と、勇気づける言葉をいただいた。

 

うつ病は治る病気か。その希望は持って治療に専念しよう。」

 

と心に決めた。

 

しかし、妻に申し訳ない気持ちや職場への申し訳ない気持ちで胸が一杯になる。

 

「それもうつ病の症状で、自責感といいます。うつ病の人は自責感が強くなり、自分を責めてしまって苦しんでしまうこともあります。」

 

自責感もか。すべてうつの症状なんだ。

 

僕は、医療従事者であるが、自分の症状となると急に無知になってしまうことも、自分が病気をして初めて理解した。

 

頭が機能していないのもうつの症状、希死念慮もうつの症状、自責感のうつの症状、のぼせ、動悸、食欲の低下、胃痛、下痢、のどの違和感、不安感、恐怖感、緊張感、、、これらすべてうつの症状であることがこの時教えもらって初めて知った。

 

今までの症状はすべてうつ病の症状、、、医療従事者の僕が知らなかったのに、他の人も理解することができないと思う。

 

これだけ多様な症状がのがうつ病である。

 

多様な症状である故に、周りに理解されるのは難しいだろう。

 

目に見えて把握できる病気ではないし、、、。

 

病気は自分がなってようやく理解できるものである。

 

特に、精神疾患のように見えてわかるような病気ではないので、理解されることは少ないでしょう。

 

休めば治る、、、そのような単純なものではない。

 

健常者が1~2日間休んで疲れが取れるような身体的、精神的な脳の疲労ではない。

 

だから、入期間が3か月必要なんだと思う。

 

担当看護師さんの入院時面談が終わり、何もすることがなくなった。

 

担当看護師さんからは、

 

「ゆっくりしてください。1、2日お風呂に入らなくなても大丈夫です。とにかく休んでください。」

 

と言われたものの、胸のザワツキや不安感で休まることができない。

 

休むことができないから、外に煙草を吸いにいくしかない。

 

部屋と外に煙草を吸いに行くの行ったり来たりを繰り返していた。

 

夕方になり、不安や胸のザワツキが強くなってきたので、担当看護師さんに相談した。

 

「医師から頓服薬が出ていますので、飲んでみますか。」

 

薬に拒否反応があったが、入院中だしと思い、頓服薬をもらうことにした。

 

飲んで1、2時間、、、効果がなし。

 

「全然効いてない、、、この薬も効果ないんだ、、、俺大丈夫か、、、」

 

さらに不安になった。

 

ベッドに横になっていることもできず、テレビのあるラウンジ風なところに座って本でも読もうとするが、当然ながら頭に入ってこない。

 

写真がメインの本にも目を通すが、さっぱりだった。

 

希望や安らぎがないのが本当に苦痛であり、落ち着かない。

 

夜ご飯の時間になり、食事を食べた。

 

なんと病院食をすべて食べることができた。

 

「こんなに食べたのは何か月ぶるだろうか。」

 

味覚が良くわかなかったので、味については何とも言えないが、すべて食べられたことに素直に嬉しく思った。

 

食事後、体重測定をしてみた。

 

10キロも減少していた。

 

穿いていたズボンもスポスポだったし、上着も着られているようであり、ガブガブであった。

 

その日の夜、眠剤が変更になったわけではなかったので、当然眠れない。

 

うつ病は眠れない病気である。

 

寝ない病気でなく、眠れない病気である。

 

11時頃に入眠し、1時頃目が覚める。

 

入院したばかりで、ナースコールを押すことをためらい、そのまま起きていた。

 

眠れないことがこんなに辛いとは、、、。

 

入院して多少冷静になったせいか、不眠の辛さが身に染みた。

 

眠れないとネガティブなことばかり考えてしまう、、、自責感、無力感、先の見えない不安、焦燥感、様々な身体的な症状、、、

 

不眠はヒトをだめにしまう。弱めてしまう。思考をネガティブに変えてしまう。

疲労感を募らせてしまう。

 

何も良いことはない。

 

眠れない苦痛を我慢しながら、次の日を迎えた。