脱出のトライアングル -シーズン1「発症から苦しみの道程」ー⑬認知の歪み

体調が整ってきたのでリハビリに精を出しつつ、入院患者さん対象の勉強会にも参加してみようと考えていた。

 

担当の看護師さんからは、

 

「集中力が回復してきたら、入院中にできる勉強会に参加し自分の認知について把握することをお勧めします。」

 

と言われていた。

 

薬物療法と休息、リハビリで幾分集中力や思考力が回復してきたので、そろそろ参加しようと思い、勉強会参加を申し込んだ。

 

不安感や恐怖感も軽減しており、頓服薬も週に1回使用するかしないかの程度まで回復していた。

(相変わらず睡眠は、まだまだ中途覚醒早朝覚醒が続いていたが。)

 

私が申し込んだ勉強会は、「認知行動療法」の基礎である「認知の歪み」についてのセミナーであった。

 

認知の歪みとは、

<物事を端的に判断させようとする”考え方のクセ”であり、その”考え方のクセ”には様々な種類がある>

 

まだ完璧な思考力ではなかったが、勉強会を受講し印象に残ったのは、考え方のクセには8種類のクセが存在していて、別名ユガミンと呼ばれているらしい。

 

健康的な時は、この8種類のユガミンは柔軟に物事を処理しているが、強いストレスがかかったり、うつ病などの精神的な病気になると、極端な思考になってしまい、物事の判断や対人関係に悪さをしてしまう可能性があると考えられている。

 

<8種類のユガミン>

*参考:認知行動療法レーニングブック、竹田伸也著、遠見書房

 

1、シロクロン

→物事を「白か黒か」で割り切り、完璧を求めさせることが得意なユガミン。完璧でなければ納得できないため、少しでも満足できないと自分を全否定し自信を失う。

 

2、フィルタン

→物事の悪い面ばかり目につき良い点やうまくいったことなど他のことを見えなくさせてしまうのが得意なユガミン。何事も悲劇的に見えてしまうため気分も暗くなる。

 

3、ラベラー

→物事や人に「〇〇である」と否定的なラベルを貼り、一度貼ったらはがさないユガミン。あらゆるものに否定的なラベルを貼り、冷静な判断ができなくなる。

 

4、マグミニ

→自分の短所や失敗を実際より大げさに考えて、反対に自分の長所や成功を実際より小さくとらえることが得意なユガミン。些細なミスや失敗を大げさに考えすぎて憂うつや不安な気分になったり、自分の良いところを「できて当たり前」と考えてポジティブに評価できなくなったりする。

 

5、ベッキー

→自分や他者に対して「〇〇すべき」、「〇〇でなければならない」と考えることが得意なユガミン。ルールに縛られて生活が窮屈になったり、自分や他者の失敗を許せず怒りや緊張を感じやすくなる。

 

6、ジーブン

→良くない出来事が起こると、自分に関係がないのにも関わらず、自分のせいだと考えるのが得意なユガミン。

 

7、パンカー

→わずかな出来事や根拠にあらゆる出来事が同じような結果になると一般化しすぎるのが得意なユガミン。嫌なことが繰り返し起こってように感じてしまうため、落ち込みやすくなる。

 

8、ジャンパー

→確かな理由もないのに、悲観的な思いつきを信じ込んでしまうことが得意なユガミン。物事が確実に悪い結果になると早合点しいぇしまい、不安定に気分に苦しむ。

 

 

人には上記8種類のユガミンが存在していて、強いストレスがかかった時、うつ病など時には、強くでてしまうユガミンが存在してしまい、物事の判断や対人関係に影響してしまうので、「自分がユガミンに支配されていることを客観的に捉えて行動していく」ことが必要である。との勉強会であった。

 

この勉強会や認知の歪みを自覚する対象はうつ病が回復期で、ある程度症状がコントロールされている状態の方に必要であるが、うつ病の急性期や極悪期はそれどころではないので注意が必要であると思う。

 

この勉強会を受講し、自分の中の歪みがわずかではあるが把握できた。

 

「僕は、シロクロン、ベッキージーブン、ラベラーが強いな、、、」

 

うつ病を発症する前から、僕は仕事で「白黒をはっきりさせること」、「この仕事はこうあるべき、僕はこうあるべき」、「これは自分の責任だ」と強く思っていた。

 

認知行動療法はこの歪みを認識し、うまく付き合っていくことを目的にしているのはないかと思った。

 

しかし、勉強会に参加し基礎を学んだことで一気に行動が変化するかといえば、非常に難しいと感じる。

 

誰かが自分を客観的に見てもらい、アドバイスを受けながら日々生活をしていくことが必要であると。

 

受講して感じたことは、

 

「認知の歪みがすごいあった。仕事でイライラしている時も認知が歪んでいたんだ。今も認知が歪んでいる。対人関係に気をつけないと。」

 

自分の認知の歪みに怖くなった。

 

うつ病とは、身体的症状や精神的症状を重ね持つ本当に苦しい病気なんだなとつくづく思う。

 

克服した人はどのように克服したんだろうと気になってきた。

 

この認知の歪みは、うつ病の回復期でも気分の波があるときは、かなり強い確率でユガミンが出現してくる。

 

本当に気をつけなけべならないと思った。

 

勉強会に参加して不安を覚えつつも、入院生活を終盤に差し掛かってきていた。